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茶葉のいろいろ

 一昔前まで中国茶と言えば、烏龍茶、鉄観音(実は烏龍茶なのですが)、ジャスミン茶くらいしか知られていませんでした。
 中国茶の種類は、産地・製法によって何百種類もあると言われています。
 中国茶を理解するうえで、よく使われる方法として、発酵の程度による分類の仕方があります。中国茶は、緑茶、白茶、青茶、紅茶、黄茶、黒茶の6種類とお茶に香りづけをした花茶を加えた計7種類に分類されます。

  紅茶、青茶、白茶の製造過程で使われる発酵とは、茶葉自身がもつ酸化酵素(自己分解酵素)の働きで、茶葉の質が変化する「自家発酵」を指します。一方黒茶、黄茶で使われる発酵は、茶葉をまず熱処理することで、酸化発酵の働きを止め、自家発酵せずに、微生物(納豆やヨーグルトなどと同じように食品を醗酵させる菌)の力を利用して分解させる、本来の発酵と同じものです。

 白茶
葉のまだ開ききっていない芽の部分には白いうぶ毛が生えています。この部分や、あるい は若葉と交えて加工するので、茶葉は白く、白茶と呼ばれています。摘み取った茶葉を何 の手も借りず、陽の光と月の光で自然に乾燥させ、葉脈が少し赤く色づくまでゆっくりと 発酵させます。白茶は、淡く透き通ったアンバー系のブラウン色で、味はかすかに甘いが 刺激もなく、軽やかでさっぱりしています。緑茶同様、春摘みの、フレッシュなものほど 香りがよく、胃腸に優しく、ビタミンCをたっぷり含んだ健康的なお茶です。
銀針白毫(ギンシンハクモウ)
 大白種茶樹の白毛に覆われた壮大な新芽を手摘みして月光に晒した珍品

   黄茶
摘み取った茶葉は、まず熱処理した後、よく揉んで火入れ乾燥します。そして、6割程度水 分を蒸発させた状態の茶葉を積み重ね、高温多湿の場所に放置します。この間に茶葉は、 酸化酵素ではなく菌の働きで軽い後発酵が起こり、茶葉は黄色に変色します。その後、8割 方乾燥するまで火入れしながら揉み、乾燥させるという手間のかかるお茶です。黄茶は、 中国でも生産量が少なく高級茶とされ、あまり一般には流通せず、種類も10種類前後と限 られています。香り深く、甘く、優しく、繊細な味わいの黄茶の良さがわかるようであれ ば、かなりのお茶通といわれます。湖南省の洞庭湖に浮かぶ島でしか採れない「君山銀針 茶」が有名。黄茶は味も香りも酔い心地までが個性的。余裕のある時に飲みたいお茶とい えます。
海馬宮茶(カイバグウチャ)
 献上茶として名高く官能的な味と香りの余韻は茶通のあこがれ
君山銀針(クンザンギンシン)
 岳陽で生産される珍品。高貴な香りは西欧貴婦人に人気があった

   青茶
私たちにとって馴染みのある鳥龍茶や鉄観音茶が青茶の仲間です。青茶は、完全に育った 葉を摘み乾燥させます。乾燥の長さは、天候や温度、茶樹の品種によっても異なります。 さらに、揺青という、茶葉を揺すったり、混ぜたりして細かなすり傷を茶葉につけます。 この工程によって、茶葉の発酵がゆるやかに助長され、独特の芳しさが生まれてきます。 発酵の頃合いをみて、酸化酵素の働きを阻止するために釜炒りし、熱を加え、よく揉んで 形を整えます。茶葉を揉む作業は、茶葉の香りと味をひきだし、形を作るためのもの。最 後に乾燥させて香り高く仕上げます。この行程は多様で、発酵の度合いにも幅があります が、あくまでも半発酵。発酵の度合いがお茶によって違うため、味の幅も広いのが特徴で す。青茶は、一般的には澄んだあんず色。甘く熟したような芳醇な香りと適度な渋みとほ のかに残る甘味が特徴です。その香りが神経に作用し、一口飲むだけで体がリフレッシュ していきます。
大紅袍(タイコウホウ)
 武夷岩茶王の接枝、苦味・渋み・甘味全てが強く爽やかな余韻
白鶏冠(ハッケイカン)
 武夷四大岩茶中で最もソフトな甘い香りと味わいを持つ献上茶
鳳凰単叢(ホウオウタンソウ)
 鳳凰水仙の一株から採る茶葉だけで作り芳醇で爽やか、後味が甘い
安渓鉄観音(アンケイテッカンノン)
 肉厚の茶葉は芳醇で甘い味、香りは密や蘭の香りと表現される
安渓黄金桂(アンケイオウゴンケイ)
 小振りで葉肉の厚い茶葉は、独自の甘味と金木犀のような香り
鹿谷卿凍頂烏龍(ロッコクゴウトーチョウウーロン)
 小さな球状に仕上げらた茶葉は蒼々しい。甘味と蘭のような香り
坪林文山包種(ピンリンブンザンホウシュ)
 蘭のような香りが清く長く香る。浅い醗酵度で喉越しがよく甘い味
峨眉香檳烏龍(ガビシャンピンウーロン)
 別名「東方美人」の名を持つ。紅茶に近い醗酵度で、蜂蜜のような甘い香り

   緑茶
中国で最もポピュラーなお茶が緑茶です。茶葉のもつ酸化酵素が働かないように、主に 摘み立ての生葉をすぐに釜炒りで熱を加え、ごく早い段階で発酵を止めます。日本の緑茶 は、「蒸す」ことで発酵を止めますが、中国茶の場合、「釜で炒る」方法をとっているため、 よりお茶本来の"フレッシュ"な香りが引き出せ、摘み立ての若葉の香りが生きています。中 国では、春、夏、秋と年3回茶摘みがありますが、春摘みの緑茶は、とりわけ香りが高く、 ビタミンC、カフェインもたっぷり。朝の目覚めにうってつけです。
西湖龍井(セイコロンジン)
 中国茶緑茶を代表する名茶の一つで清涼な香味
東山洞庭碧螺春(トウザンドウテイピーローチュン)
 新芽を美しく製茶して、うまみと香りを最高級に引き出した名茶

   紅茶
紅茶のルーツが中国ということは意外と知られていませんが、中国の紅茶は、全熟した葉 が醸し出す芳香と優しい甘味が特徴です。摘み取った茶葉をまず乾燥させ、かなり強く揉 んで茶葉の細胞組織を壊し、急速な発酵を促します。続いて、紅茶独特の転色の工程に入 ります。転色とは、紅茶の製造における茶葉の発酵を指します。紅茶の発酵は、温度と湿 度そして通気が重要で、1,2時間という短い時間の中で十分に発酵させ、赤褐色に変わった 頃合いを見て再び乾燥させ、発酵をストップさせます。欧米の紅茶は、香料を加えたもの が多いのですが、中国の紅茶は、祁門(キーマン)紅茶をはじめ、自然の香りと甘味が特 徴。レモンやミルク、砂糖も加えず、ストレートに飲むのが一般的です。
祁門紅茶(キーマンコウチャ)
 世界三大茶に挙げられる名品。バラのような香りと飲みやすい味

   花茶
本来は、あまり高級でない緑茶の味や香りをカバーするために、強い芳香を放つ金木犀や 薔薇、ジャスミン、クチナシ、柑橘類の花を混ぜて一緒に乾燥したものですが、近年海外 からの要望で高級化し、高級な茶葉に香りをつけ、茶の香りを生かしながらも、花の香り が出過ぎず、花びら自体はほとんど混ざっていない花茶が良質とされています。花茶は、 香りつけする花によって、その味わいはもちろん、効能も違ってきます。たとえば、菊花 茶は、ほてりを抑えたり、目の疲れを癒したりするのに効果的といわれ、ジャスミン茶は、 胃腸の働きを整え、口臭を防ぐお茶といわれています。花茶は、花とお茶の両方の風味と 薬効が期待させますが、やはり一息いれたい午後のティータイムに香りを楽しみながら、 気持ちをリラックスさせるのが一番と思われます。
茉莉仙桃(ジャスミンセントウ)
 大白種の新芽を枝ごと摘み、綿糸で球状に整形、水中で香りの花が咲く
茉莉龍珠(ジャスミンリュウシュ)
 大白種の新芽を数本ずつ球状に丸めて整形した超高級ジャスミン茶
茉莉春毫(ジャスミンシュンモウ)
 新鮮でボディーのある味にジャスミンの華やかな香りが何煎も残る
抗白菊(龍井)(コウハクギク)
 爽快な龍井茶に薫り高い菊をブレンド。口や体の疲労回復にも効果的

   黒茶
黒茶は、醤油・味噌などと同様菌の働きによって発酵していきます。摘み取った茶葉をす ぐ釜で炒ることで熱処理を加え、茶葉自身が持つ酸化酵素の働きを止めます。次に黒茶を 特徴づける渥堆と呼ばれる工程に移ります。この渥堆とは、まだ水分の残っている状態の 茶葉を積み上げて高温多湿な場所に放置し、菌が茶葉に発酵を促させます。再びそれを揉 むことで、発酵がすすみ独特な香りと味ができあがります。高級な黒茶は、さらに室のよ うな場所に入れて発酵させ、室からだして乾燥させるという工程を繰り返しします。黒茶 の銘茶・プーアール茶は、緑茶を蒸して湿気を与え、それを寝かせておくという方法が採 られています。プーアール茶は、人為的に菌が働きやすい環境を作る渥堆という作業では なく、自然なまま放置し、寝かせることによって後発酵を進め固めていきます。黒茶の色 は、濃いアンバーカラー。独特のかび臭さがあり、初めのうちは、少々敬遠しがちですが、 病みつきになるおいしさです。脂肪を分解するタンニンが多く含まれていることから、ダ イエット効果が高いと言われていますが、むしろ血液中のコレステロール値を下げる効果 が顕著です。プーアール茶は、古くなればなるほど価値があがり、香港ではオークション が行われ驚くほど高い値がつけられています。
何かを成し遂げた幸福感の時に飲むお茶・中国茶の最高峰
二十五年陳プーアール(ニジュウゴネンチンネンプーアール)
 大木の輪切りのようにプレスして大切に熟成された珍品はうまさ抜群
プーアール小沈茶(プーアールショウトウチャ)
 一個で0.5リットルのお茶が作れる。美容に良いと香港でも人気のかわいいお茶


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美味しい中国茶の味わい方・楽しみ方

 分類の方法によっては千種類を遥かに越えると言われる中国茶。長い歴史が育んだ茶葉を様々に楽しむ方法についてお話致しましょう。
茶の楽しみには大きく分けるとそれは下記のような大きな要素が四つあります。
 1. 茶液の色(水色)
 2. 様々な味
 3. 豊かな香り
 4. 茶葉の姿・形(茶殻も含めて)

1. 水色の楽しみ

中国茶は製造や発酵の度合いで、
a. 緑 b. 白 c. 黄 d. 青 e. 紅 f. 黒 g. 花
の七種類に大きく分けられています。発酵の度合いやプロセス、あるいは茶樹の品種や葉の部位により様々な色と艶の違いが生まれてくる為に飲む前にその色艶をじっくり鑑賞して下さい。

2. 賞味

お茶に含まれる味の要素には次のようなものがあります。
a. 甘味 b. 渋味 c.苦み d. 滋味(旨味) e. コク(のどごし) f. 舌ざわり
のそれぞれの味覚を程よく満足させてくれるお茶が優れたお茶といえます。味覚には大変個人差があり、渋いお茶や苦いお茶が好きという方と、逆にこれらの味が苦手という方があり、一概にこの味が絶対に美味しいということではありません。お茶の味にはこれらの要素があり、これらの個性を意識しながら皆さんの好みに合ったものを選んで頂ければそれが一番美味しいお茶ということになるのです。

3. 香り

お茶の香りといってもこれも次のような様々な香りがあり、楽しむことが出来ます。
a. お茶の香り
b. 茶葉に湯を注いだ時に立ち昇る香り
c. 茶杯に注ぎ入れる時に昇ってくる香り
d.茶杯に注ぎ分けた後の茶器の蓋や茶海・聞香杯に着いた香り
e. 茶液を口に含んだ時の香り
f. 飲んだ後の香りの余韻
g.ほのかなものから力強い香りまで種類により、また入れ方によっても変化してきます。更に楽しむ為の花・果・乳・土・薬・煙・清・鮮・甘・等の良い『香り』と、本来あってはならない焦・生・青・腐・油・雑・カビ・湿気等の『臭み』があることも知っておいて下さい。

4. 姿

a.葉の大小 b.形状 c.仕上げ方d.抽出した時の茶葉の変化
 これらの全てが整ったものを『四絶』(しぜつ)と呼んで賞賛します。自分の五感を働かせて『My四絶』を楽しむのが、至福の時と言えるでしょう。


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